東京の南、約一千キロ。航空路の届かぬ海域、都市の灯りも届かぬその先に、太平洋の深淵から小笠原諸島は立ち上がります。火山の熱が形づくり、大洋の静寂が守り抜いた、大陸にいちども触れたことのない、地球に残された最後の群島のひとつ。
STELLARE BONIN は、その静けさの内に建てられました。父島の私有の入江に沿って配された十二の別邸は、潮と、貿易風と、星々の運行のみに従います。島が大きくあり続けるために、わたしたちは小さな宿であり続けます。
STELLARE BONIN での一日は、変わらぬ三つの存在のまわりに編まれます。頭上の宇宙、足下の海、そのあわいに横たわる島。滞在とは、その三つのあいだに生まれる、ささやかな所作の連なりです。
断崖の観星亭に据えた口径四百ミリの望遠鏡が、南の空を開きます。天の川、マゼラン雲、本州からはけっして見えぬ星座の数々。
透明度は四十メートルを超えて。夜明けにはハシナガイルカと泳ぎ、夕には名もなき入江へ帆を張り、南島の古き珊瑚の聖堂を潜ります。
ムクノキとタコノキの固有林、潮だまりの連なる海岸線、そして地球のほかのどこにも棲まぬ生きものたちの静かな同伴。夜明けの小径を、どうぞ。
十二の別邸はそれぞれ専有の花崗岩のテラスに独り建ち、在来のタコノキの陰に隠れ、日が落ちれば星座の光のみに照らされます。建築家・坂茂は、これらをまず開かれた縁側として、つぎに部屋として構想しました。太平洋の上で、外に住まうための招きです。
内装は、小笠原の流木と、和紙と、手鏝で仕上げた漆喰と、ブロンズの静かな対話によって編まれます。各別邸にはインフィニティ・プールと、屋外の檜風呂、冬の天の川に向けて開かれた専用の屋上テラスを備えます。
「父島の空はボートル階級一 ── 地上に残された、もっとも暗い夜空に分類されます。観星亭のデッキからは、天の川そのものが、海の上に影を落とすほどに。」
空港はありません。近道もありません。あるのは、週にただ一便、東京を発ち、外洋の太平洋を二十五時間かけて渡る一隻の船 ── おがさわら丸のみ。この航海そのものが、滞在の第五の要素であると、わたしたちは考えています。
STELLARE BONIN がお迎えするお客さまは、各シーズン、ごくわずか。コンシェルジュが、お客さまのご意向と対話を重ねながら、船、別邸、そして空までを誂えた旅程をお仕立ていたします。